※こちらの記事は2018年にnicoとして実施したアーカイブです。当時のドメイン運用終了に伴い痕跡としてこちらに魚拓的に残しています。

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ビギナーズラックの終わりと次の展開を考える

今年はこれまで経験則や方法の蓄積もあり、昨年よりもさらに、搬入日までに大きな混乱やトラブルもなく(渡仏の際にチケットに関してまさかの事態が起きてしまったメンバーもいましたが)、関税で引っかかることなどはなく、わりとスムーズに進行し、総勢16名で約50点(シート含まず)の作品とともに開催してきました。

ですが、正直に報告すると、思うような成果には繋がりませんでした。
フォトブックが数冊売れた程度、という結果。来場者もこれまでの平均値から3割減くらいでした。

なお、今年の天候は土日こそ崩れたものの昨年の異常気象に比べたら良い天気でした。
ただし、日曜日が終戦記念日的な祝日やトランプ大統領の来仏というタイミングにぶつかり、街中は2年前の記憶よりもだいぶ静かな印象で、その影響もあってなのか……なかなか苦戦。

ある意味で「ビギナーズラック」というのは実際に存在して、それは終わった、ということを「いよいよ感じた」とも感じました。最初の年は価格設定自体お試しみたいな感じだったので売れやすい部分はありましたが、偶然来場する比率もそもそも大きかったように思います。

いずれにしても目指すところはギャンブルではないので(もちろん作品x時期x来場者の3種のタイミングというマッチングがハマらないと成約しないという偶然性はどうしてもあるのですが)一定以上の観測ができるようにマーケット性を確保していく、ということが今後の課題。そしてそれはどうしても継続の過程で農地のように拓いていくようなもので、次の一歩その次の一歩として来年以降も進んでいきたいと思います。

ここからはある種の粘り強さのようなものも必要だと思っています。

継続性の実感を感じるものの営業力への課題

継続していくとなんだかんだでジワジワと知り合いの知り合いや「去年も来た」という方が増えてきたのはなによりでした。
日本で日頃お世話になっているメーカーギャラリーのディレクターの方がちょうど来仏しているとのことで、展示のご案内をしたらオープニングのレセプション時に来ていただけたり(だいぶ時間をかけて各自の作品に講評いただいたりありがとうございました)
とはいえ、来場者数は伸び悩んでしまったのは前述のとおりです。

あるツテもあり、現地のフォトグラファーやローカルな事業者層のネットワークに告知を展開したものの、どうしても英語で送らざるを得ないところがあり…やはり言語の壁は大きいように感じます。
かねてから「自分自身がしゃべれないことには始まらない」と言っていたフランス語……3回目の渡仏を終えてからにはなりましたが、ようやくフランス語教室の扉を叩くことにしまして、個人的に来年はもう少しそのあたり手応えをしっかり掴んできたいです。

いずれにしても広報への手数も足りないのは課題ですが……力の入れ方・抜き方は心得てきたようなところもあります。

ところで、今年は日仏160年の年だからか、個人的に空港などでスタッフの人にやたらと日本語で話しかけられるなど親日感はいつになく感じました。

価格のバランス空気感と作家というブランド、そしてコレクター(ファン)との関係性

もうひとつ。3年やってきてなかなか定まり切ってない点が「価格」です。値付けは明確な指針があるようでないので難しい。
集客もさることながら、今年は特に来場者との会話の中でこれまでよりも起きた価格帯の話。ギャラリーのオーナーご夫妻ともその話が出ました。

たとえば、ちょうど今年近隣で日本人のアーティストが個展をしていて、それを観に行った際に気になったのも価格帯についてでした。
そこでは概ね200〜250ユーロ(2018年の日本円ですと25,000円〜33,000円ほど)ちなみに、こちらのギャラリーが15区にあることも影響にあるようで、「7区というポジションではまたちょっと違う……」というようなことは私たちが展示するギャラリーのオーナーさんは言います。たしかに15区のギャラリーの方では最初にプライスリストを渡して来て「クリスマスプレゼントにちょうどいい(それはオブジェ的なアートだったのですが)」とも言っていました。たしかに「クリスマスプレゼント」というのはアートの「コレクション」とは違うかなと思います。
(作家の気持ちとはうらはらに)

今年、私たちの展示では400ユーロ平均くらい。高いものですと600とつけているものがありました(約8万円:額装込)

最初の年はむしろ200前後くらいだったのですが、それだと安い、ということで、、去年は実際今年よりもちょっと低いくらいの設定だったものの、「ほしい・・けどちょっと予算的な・・」という話になったのはむしろ今年。来場者の方で、A3強の大きさのFMプレート作品550ユーロ(約70,000円)で足踏みするケースもあったり。

もちろん「その価格でもほしい」と価値がきちんと意識のボーダーを越えることこそ作品販売の理想だと思いますが、価格設計も購入のモチベーションとして重要なポイントではあります。

この空気感はダークバッグの中でフィルムをリールに巻きつける作業のような手探り感ですが、これまでのリサーチを経て徐々にチューニングされている感もあります。

一方で、
今回もうひとつ「売れる売れない」関して思うところもあり、fotofeverで成約の様子を少し伺えた日本のギャラリーや周辺の声を聞いていると「その作家を元々知っていた」というケースが大きいような印象もありました。
作品購入はマッチング次第なところもあるので、純粋に「一目惚れ」で買われる場合ももちろん全然あり得るのですが、、やはりそれはギャンブルと同じです。そんな出会いがあったらそれは嬉しいですが、そんな簡単な話ではfotofeverの来場者約10,000人を持ってしてもない、ようです。

事前にわかっていて買われているケースの方が多いとすれば、やはり作家個人の露出も重要なポイントです。実際、私達の展示でも参加メンバーのtwitterやInstagramを以前から見ている、という理由で来場された方もいました。
ギャラリーや私たち団体としての認知度も重要でしょうし、様々な視点からのブランド価値を高めていく必要があるのだなと再認識して、次の一年を考えていきたいです。

余談ですが、これもギャラリーや毎年手伝ってもらっているフランス人の友人とも話していたことなのですが、ParisPhotoは今年だいぶおとなしいというか「堅実」な路線で展示を納めていたような印象がありました。企画展示エリアは森山大道推しのブースなど面白い展開の箇所もありましたが。
売れるものを売る、みたいなスタンスというか、実際に買う側にいるわけではないのであくまで来場者目線であるのですが、どことなく「消化試合」的な空気感と言いますか。もしかしたら、常連なコレクターが来るとバックヤードから「今、こういうのもありますねん」と持ってきて、新規のお客さんには「まずは定番ね」みたいな感じなのか?みたいな。フラッとくる層にそこまで(展示する)パワーはかけられない、みたいな。初日に3時間くらいぐるぐる回った程度なのでホント個人的な見解です。

来年以降のこととオンラインの強化

展示としての課題は集客力の向上が挙げられますが、3回を通して実施までの安定感は持てるようになってきたところでもあるので、これまでの出展者含め、「作家と潜在的コレクターとのマッチング」をより作っていけるプラットフォームとして組み立てていけたらと思っています。

去年よりも今年、今年よりも来年など、ジワジワとオンラインの影響力の大きさも感じていて、このあたりの手段を活用できることが2019年以降は特に重要だと考えています。

というのも、アート系のニュースサイトでも「オンラインの割合がいよいよ逆転してきた」というようなものが話題に上がるようになってきました(いくつか参考リンクを貼り付けます)ちょうど今年、そして2019年から2020年あたりのポイントが大手の方からターニングポイントに差し掛かっているということは、その波はあっという間に波及してくるのではないかと。

たとえば、美術手帖は
「オンラインがギャラリービジネスを変える? メガギャラリーの戦略から見る最新の動向」
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/18485

Art Newsなどでもちょうどそんな話題が
“New UBS Collector Report on ‘Art in Motion’ Finds Market Moving Increasingly Online”
http://www.artnews.com/2018/12/06/new-ubs-collector-report-finds-art-motion-mobilizing-online/

*UBSはスイスのチューリヒおよびバーゼルに本拠を置くスイス最大の銀行。

2019年アナウンスとして

2019年11月8日(金)〜17日(日)
4期目参加者は2019年順次募集開始します。海外展示に際してこれまでの知見を共有しながら4月〜10月、約半年〜かけて準備していきます。
※Paris Photoは11月7日〜10日

また、
2月28日〜3月3日の横浜で開催されるCP+2019併催の「御苗場」に今年パリで展示してきたメンバーとともに出展します。